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シフトレフトとは? 注目される理由や実施時のポイントを徹底解説!

シフトレフト (Shift Left)は、ソフトウェア開発におけるテストとセキュリティ対策を早期に実施するアプローチであり、近年注目を集めています。

本記事では、シフトレフトの概要や実施時のポイントについて詳しく解説します。本記事をお読みいただくことで、シフトレフトの重要性について理解し、自社のセキュリティチームの組成にも大いに役立ちますので、ぜひとも最後までお読みください。

シフトレフト(Shift Left)とは

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シフトレフト (Shift Left)とは、ソフトウェア開発プロセスにおいて、テストやセキュリティ対策を開発の初期段階に組み込むアプローチを指します。

従来の開発手法では、テストやセキュリティチェックは開発の後半に行われることが一般的でしたが、シフトレフトではこれらのプロセスを「左側」に移動させることで、問題を早期に発見し、修正することが可能になります。

この手法の背景には、ソフトウェアの複雑化やサイバー攻撃の増加があり、開発者やセキュリティチームが協力して、より安全で高品質な製品を提供する必要性が高まってきた点が挙げられます。

シフトレフトを実施することで、開発の初期段階からセキュリティを考慮することができ、結果としてコスト削減や開発スピードの向上にも寄与します。

参考: Webアプリケーション脆弱性診断│EGセキュアソリューションズ株式会社

シフトレフトに関する主な手法

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シフトレフトを実施する際には、いくつかの主要な手法があります。以下に、代表的な手法を紹介します。

SAST(静的アプリケーション・セキュリティ・テスト)

SAST(Static Application Security Testing)は、ソフトウェア開発の初期段階でコードを分析し、潜在的なセキュリティ脆弱性を特定する手法です。

この手法は、開発者がコードを書く段階で実施されるため、問題を早期に発見し修正することが可能です。SASTは、ソースコードやバイナリコードを静的に解析することで、セキュリティ上のリスクを洗い出します。

SASTの利点は、開発プロセスの早い段階で脆弱性を発見できるため、修正コストが低く抑えられる点です。また、テストを自動化することで、開発者は手動でのチェックにかかる時間を削減し、より効率的に作業を進めることができます。

DAST(動的アプリケーション・セキュリティ・テスト)

DAST(Dynamic Application Security Testing)は、アプリケーションが実行されている状態でセキュリティの脆弱性を検出する手法です。

このテストは、実際のユーザーの操作を模倣し、アプリケーションの動作を観察することで、潜在的なセキュリティリスクを特定します。

DASTの主な利点は、実際の運用環境に近い条件下でテストを行うため、リアルタイムで脆弱性を発見できる点です。また、DASTは自動化ツールを使用して実施でき、効率的に多くのテストケースをカバーすることができます。

脅威モデリング

脅威モデリングは、シフトレフトの重要な手法の一つであり、ソフトウェア開発プロセスの初期段階で潜在的な脅威を特定し、評価するための体系的なアプローチです。

脅威モデリングを用いることで、開発チームはアプリケーションの設計段階からセキュリティを考慮し、リスクを軽減するための対策を講じることができます。

脅威モデリングのプロセスは、まずアプリケーションのアーキテクチャやデータフローを理解することから始まります。

次に、特定されたコンポーネントやデータの脆弱性を洗い出し、それに対する攻撃者の視点からの脅威を分析します。この分析に基づいて、リスクの優先順位を付け、適切な対策を検討することが可能になります。

セキュリティ・アーキテクチャのレビュー

シフトレフトの実施において、セキュリティ・アーキテクチャのレビューは非常に重要なステップです。

このプロセスでは、システム全体の設計や構成を評価し、潜在的な脆弱性やリスクを特定します。特に、アプリケーションがどのようにデータを処理し、外部と通信するかを理解することが、セキュリティ対策の基盤となります。

レビューを行う際には、まずアーキテクチャの各コンポーネントがどのように相互作用するかを把握することが必要です。また、セキュリティのベストプラクティスや業界標準に基づいて設計が行われているかを確認することも重要です。

コンテナイメージスキャン

コンテナイメージスキャンは、シフトレフトの実施において重要な手法の一つです。

コンテナ技術の普及に伴い、アプリケーションをコンテナ化することが一般的になっていますが、その際に使用されるイメージには脆弱性が潜んでいる可能性があります。

これらの脆弱性を早期に発見し、対策を講じることが、セキュリティを強化する上で不可欠です。

コンテナイメージスキャンは、開発プロセスの初期段階で行うことが推奨されます。具体的には、コードがリポジトリにプッシュされる前や、CI/CDパイプラインの中で自動的にスキャンを実施することで、脆弱性を早期に検出できます。

また、コンテナイメージスキャンは、定期的に実施することも重要です。新たな脆弱性が発見されることがあるため、既存のイメージに対しても継続的にスキャンを行い、最新のセキュリティ基準に適合させる必要があります。

コード署名

コード署名は、ソフトウェア開発において重要なセキュリティ対策の一つです。

コード署名は、開発者が自らのコードにデジタル署名を施すことで、そのコードが改ざんされていないことを証明する手法です。

具体的には、開発者が持つ秘密鍵を用いてコードに署名し、受け取った側は公開鍵を使ってその署名を検証します。このプロセスにより、ソフトウェアの信頼性が向上し、ユーザーは安心してアプリケーションを使用できるようになります。

コード署名の利点は、単にセキュリティを強化するだけではありません。署名されたコードは、配布時にその正当性を証明するため、悪意のあるソフトウェアやマルウェアの混入を防ぐ役割も果たします。

シフトレフトテストのメリット

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シフトレフトテストを導入することには、いくつかの重要なメリットがあります。以下では、各メリットについて解説します。

セキュリティが強化される

シフトレフトのアプローチを採用することで、ソフトウェア開発におけるセキュリティが大幅に強化されます。

従来の開発プロセスでは、テストやセキュリティ対策が開発の後半に行われることが一般的でしたが、これにより脆弱性が発見されるのが遅れ、修正にかかるコストや時間が増大するリスクがありました。

シフトレフトでは、これらの対策を早期に実施することで、問題を早期に発見し、修正することが可能になります。

UXや機能の向上が見込める

シフトレフトのアプローチを採用することで、ユーザーエクスペリエンス(UX)や機能の向上が期待できます。

従来の開発プロセスでは、テストやセキュリティ対策が後回しにされることが多く、その結果、リリース後に多くの問題が発生することがありました。

しかし、シフトレフトを実施することで、開発の初期段階からこれらの要素を考慮することが可能になります。

開発効率が上がる

シフトレフトのアプローチを導入することで、開発効率が大幅に向上することが期待されます。

従来の開発プロセスでは、テストやセキュリティ対策が後回しにされることが多く、最終段階での問題発見が一般的でした。このため、修正作業が膨大になり、開発スケジュールが遅延する原因となっていました。

しかし、シフトレフトを実施することで、これらの問題を早期に解決することが可能になります。

シフトレフトを実施する上でのポイント

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シフトレフトを効果的に実施するためには、次にあげるようなポイントを押さえる必要があります。

  • セキュリティチームを設計に参加させる
  • セキュリティ検証済みのツールを開発に活用する
  • テストの自動化

ここでは、各ポイントについて解説します。

セキュリティチームを設計に参加させる

シフトレフトを効果的に実施するためには、セキュリティチームをソフトウェアの設計段階から積極的に参加させることが重要です。

具体的には、セキュリティチームが設計レビューに参加し、潜在的な脅威やリスクを早期に特定することが求められます。これにより、開発者はセキュリティ要件を理解し、設計段階で適切な対策を講じることが可能になります。

また、セキュリティチームが開発者と密に連携することで、セキュリティに対する意識が高まり、全体の開発文化が向上する効果も期待できます。

セキュリティ検証済みのツールを開発に活用する

シフトレフトを実施する際には、セキュリティ検証済みのツールを開発プロセスに組み込むことが重要です。

具体的には、静的アプリケーション・セキュリティ・テスト(SAST)や動的アプリケーション・セキュリティ・テスト(DAST)などのツールを活用することで、コードの品質を向上させることができます。

これらのツールは、開発環境に統合することで、リアルタイムでのフィードバックを提供し、開発者がセキュリティの観点からもコードを見直す機会を増やします。

テストの自動化

シフトレフトを実施する上で、テストの自動化は重要な要素となります。自動化されたテストは、開発プロセスの早い段階でセキュリティや機能の問題を発見する手助けをし、開発者が迅速に修正を行える環境を提供します。

自動化テストは、特に繰り返し行う必要があるテストケースにおいて効果を発揮します。例えば、コードの変更があった際に、既存の機能が正常に動作するかを確認するための回帰テストを自動化することで、開発者は新しい機能の実装に集中できるようになります。

また、自動化されたテストは、テストの一貫性を保つことができるため、ヒューマンエラーを減少させる効果も期待できます。

シフトレフトに関するよくある質問

Q1: シフトレフトとは?

シフトレフトとは、ソフトウェア開発プロセスにおいて、テストやセキュリティ対策を開発の初期段階に組み込むアプローチを指します。

Q2: シフトレフトのテストの種類は?

シフトレフトの手法には、SAST(静的アプリケーション・セキュリティ・テスト)やDAST(動的アプリケーション・セキュリティ・テスト)などの手法が存在します。

Q3: シフトレフトを実施する上でのポイントは?

シフトレフトを実施する上では、セキュリティチームをシステム設計に参加させることに加え、セキュリティ検証済みのツールを開発に活用することが重要です。

まとめ

本記事では、シフトレフトの概要や実施時のポイント、さらにはそのメリットについて詳しく解説しました。シフトレフトを実施することで、セキュリティの強化やユーザーエクスペリエンスの向上、開発効率の向上が期待できるため、企業にとっては非常に価値のある戦略と言えるでしょう。

今後、シフトレフトを自社の開発プロセスに取り入れることで、より安全で効率的なソフトウェア開発を実現し、競争力を高めることができるでしょう。ぜひ、シフトレフトの考え方を取り入れ、実践してみてください。

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